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コラム【ヒト】

社会人基礎力をお題目ではなく、確実に育成に結び付ける方法

育成には、指標が有効です。
育成には、実務スキル、テクニカルスキルのみならず、ヒューマンスキルを成長させることも大切です。



新入社員や若手のヒューマンスキル育成の指標の一つに、社会人基礎力があります。

御社は、活用されていますか?


1.社会人基礎力とは 



「社会人基礎力」とは、経済産業省が2006年に提唱した職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力として、大きく3つ、細かく12の能力要素で構成されています。

「前に踏み出す力」

 主体性、働きかけ力、実行力
 
「考え抜く力」

 課題発見力、計画力、創造力
 
「チームで働く力」

 発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力

 弊社が創業した2011年当時は、まだ社会人基礎力自体の認知度が低く、研修依頼を受けることは、ほとんどありませんでしたが、ここ数年、新入社員、2年目や3年目のフォローアップ研修の依頼を受ける際、社会人基礎力にからめた研修コンテンツにして欲しいという相談が、年を追うごとに増えています。

 提唱されて15年が経過し、新入社員の実務スキル以外の成長指標として言語化を考えた際に、丁度いいということで活用する企業が増えてきたのでしょう。

 ただ、活用度は、企業によって様々です。新入社員研修の際に、「社会人基礎力というものがある、それぞれ意識するように」と紹介だけして終わっている企業もあれば、それぞれの要素を自社で要求される具体的行動に落とし込んだ上で、定期的に自己評価とOJT担当、上司評価を実施し、すり合わせまで行っている企業もあります。

 

2.社会人基礎力のWorst5は、企業問わずほぼ同じ



 弊社が2年目、3年目のフォローアップ研修を承る際は、研修に対する動機づけもかねて、事前に自己評価と上司評価を実施します。

 研修冒頭で、個々に自己評価と上司評価、平均評価を見比べ、ギャップが大きい要素をチェック。ギャップが発生している要因を考えた後に、会社の中で、自己評価も上司評価も低い要素(=伸ばす必要がある要素)を引き上げるためのアクションについて、研修を行います。

 その中で、面白いことに、業種職種問わず、企業問わず、例年、ほぼ同じ傾向が見られます。

①上司評価の方が自己評価よりも高い

 意外に思うかもしれませんが、自己評価平均と上司評価平均を見比べた際に、自己評価平均の方が高かったというケースは、過去1回だけでした。研修を実施する側としては、自己評価が高い方が、その後の進め方としてはやりやすい面もあるのですが、開始した2014年以降、続く傾向です。

 自己認知ができてなくて困る、というのは上司側の勝手な思い込みかもしれませんね。


②Worst5に選ばれる要素は業界、職種問わず同じ

 新人や若手の課題として、管理職からよく聞く声は「主体性がない」ですが、実は社会人基礎力の評価平均でWorst5の中に「主体性」が入ってくることは、自己評価ではたまに挙がることもありますが、上司評価平均でWorst5に挙がることは、ほぼありません。

 多少、順番の前後はありますが、Worst5は「働きかけ力」、「課題発見力」、「計画力」、「創造力」、「発信力」の5つです。大項目「考え抜く力」は3つとも入っており、ここが課題と言えます。もっとも、新人、若手に限らず、難易度の高い要素なので、企業問わず同じ傾向ができるのも納得できます。

 これらはヒントを得たり方法を確認することはできますが、そもそも1,2日の研修で身に着くものではないため、いかに現場で磨いていくかということが大切です。

 

3.社会人基礎力をからめた研修の実施ポイント



  研修では社会人基礎力はヒントを得ることはできても習得はできません。従って、研修の目的は、「行動変容につなげるための自覚、気付きの場にする」が、適切でしょう。

 それには、客観的に自身の力を把握することが欠かせません。
 
 そこで、自他ともに巻き込んで行動を伴うワークを実施し、その後、社会人基礎力チェックシートで自己評価と合わせて、研修を受講したメンバーからの他己評価を実施し、確認を行うことが必須と言えます。

 「やってみてできた、できなかった」が無ければ、自覚できないからです。しかも、自分一人だけだと比較対象がないため、適切な評価はしづらいですが、同じワークを行っているメンバーがいれば、比較することで自己評価は適切なものに近づきます。

 その後、各要素を磨いていくためにどうすればいいのか、一度自分達で考えるというステップをふんだ上で、講師からヒントなり手法をもらうという流れで進めることで、ただ聞くよりも、圧倒的に意識が高まります。

 

4.社会人基礎力をメッセージや研修だけで終わらせないために



 言葉で伝える、研修で学ぶだけだと、行動変容や成長にはつながりにくいものです。

 大切なことは、周囲の協力、特に、育成に関わる人が、社会人基礎力の要素を理解し、日常業務の中で、それらを引用しながら指導育成を行うことが大切です。

 そのために、欠かせないことが2点あります。

①定義づけ
 自社における12の要素は、行動レベルに落とし込むとどういうことなのか

②レベル・基準設定
 何がどこまでできたら、一人前とみなされるのか、

上記2点を、育成に関わる人材と新人や若手が共通認識として確認していることが必要です。

 

 お題目や研修だけで終わるのであれば、余計な知識を入れるだけにしかならないので、実施しない方がましです。せっかく導入するのであれば、できることから進めて、ヒューマンスキルの成長・育成指標として有効かしていきましょう。

  

→ 社会人基礎力チェックシート こちら

→ 買い切り型 MP4形式動画とケーススタディ「スタンスビルディングセット」 こちら

→ 社会人基礎力をふまえた研修事例 こちら

→ 社会人基礎力をふまえた研修を自社で行う 

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