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コラム【組織】

成長を確実に進めるために必要なもの

1.意識が変われば行動が変わる?



研修やセミナーで、こういう言い回しを聞いたことがないでしょうか。

「意識が変われば、行動が変わる
 行動が変われば、習慣が変わる
 習慣が変われば、人格が変わる
 人格が変われば、運命が変わる」

この言い回しは、正しくありません。正しくない、というと語弊がありますが、簡略化され過ぎているのです。

 意識が変わっただけで、行動が変わり、習慣が変わるのであれば、研修や人材育成はいりません。
研修は、意識系のものから知識・スキルのインプット系のものまで含め、 あくまで意識を変える「きっかけ」でしかありません。


2.意識に働きかける前と後が大事



 研修や指導育成を受けたとして、意識が変わったとしても、何もしなければ、ヘルマン・エビングハウス氏によって提唱された「エビングハウスの忘却曲線」に従って、習慣となっていない短期記憶は時間とともに忘れられていきます。

「研修は時間とともに効果が薄れていくから…」と言われる大きな要因です。

 ロバート・ブリンカーホフ博士が、人材育成カンファレンスにおいて報告 をした研修の効果に関する数字、40:20:40の法則があります。
 研修の効果を最大化するには、研修前(準備、事前課題、上司や周囲によ る研修に対する動機付けなど)の重要度が40%、研修後(アンケート、 報告書、事後課題、研修内容の部内シェア、定例確認など)の重要度が 40%、研修そのものの重要度が20%とされています。

  研修の実施前、実施後の準備、フォローアップを必須にすれば、「研修は時間とともに…」もだいぶ変わります。 しかし、実施前はおろか、実施後のフォローアップすら行っていないことも多いのではないでしょうか。
 さらに、育成は研修のみではなく、日常で上司や先輩からOJTや実務の中で行われるアドバイスやヒント提供も含まれます。(むしろ、こちらの方が大事)研修や日常において何が必要でしょうか?


3.意識が変わる ⇒ 行動が変わる にするには



意識が変われば行動が変わる、を実現するには

①「本人の強烈な意志」
②「具体的なやり方」
③「行動のための仕組み・仕掛け」
 
が必要です。

 本人の意志がなければ、周囲が何をどうしても変えようがありません。そもそもの大前提です。そして、当たり前のことですが、誰しも知識・スキル・経験がないことは、できないので、意識が変わっても、行動につながりません。育成に関わるに人間は、知識・スキル・経験の有無を確認して、無いなら具体的にどうすればいいのかを教える必要があります。最後に、行動のための仕組み・仕掛けが重要です。経営者、管理職が意識して取り組むべきは研修やセミナーの実施ではなく、日常で自然に動くための仕組み・仕掛けです。人間には「現状維持バイアス」が備わっており、変化を嫌うのが基本です。①②をクリアしても、なかなか行動につながらない場合は、意志がくじけても、知識・スキル・経験の不足があったとしても、行動につながるような仕組みや仕掛けを提供する必要があります。


4.行動が変わる ⇒ 習慣が変わる にするには



行動が変われば習慣が変わる、を実現するには

①「本人の強烈な意志」
②「行動の継続」
③「継続のための仕組み・仕掛け」

が必要です。
 
 行動が変わったら習慣になるか、というとそんな簡単はわけはありません。3日坊主と いう言葉があるように、習慣化が一番難しいのです。
 先に述べたように、本人の意志がなければ、周囲が何をどうしても変えようがありません。そもそもの大前提です。
 そして、やったりやらなかったりでは、当然習慣になりません。21日間、同じことを継続すると習慣化されると言われています。最低でも、21日間の継続をすることが必要です。しかし、余程、意思が強い人間でない限り、一人で継続するのは、難易度が高いでしょう。実践・継続をマネジメントするアプリやツールも多く出ているが、個人に担保するのも心もとない点もあります。
 確実な人と組織の成長を実現するのであれば、会社として仕組み・仕掛けを用意したいところです。


5.自律的・持続的に成長する人材、組織をつくるには



 結論として、研修やセミナーはもちろん、本人任せにしているだけでは成長・変革にはつながっていきません。自社、組織の現状をふまえ、日常の環境、仕事の中でシンプルに回すことのできる仕組みや仕掛けが必要なのです。

 経営として、意識を変える、行動を変える、習慣を変える仕組みと仕掛けをつくりましょう。

コラム【組織】

自社に合わせた失敗しないメンター制度

1.メンター制度が注目されてきた背景

メンター制度を導入する組織が増えてきた背景として、社会環境の変化があります。

 以前は、組織の中で自然に成長していく環境がありました。しかし、世の中の変化スピードの速さ、人材が不足する中での生産性・効率・業績追及によるプレイングマネジャーの増加といった状況から、部下や後輩にじっくり目配りをして育成をする、という環境ではなくなってきました。




 また、仕事で使う機器の発達や環境の変化に目を向けると、個人の仕事が外からは分かりづらくなったということも一因としてあります。(携帯、メールでのやり取りなどによるブラックボックス化)ひと昔前のように、先輩社員が電話で話している内容を聞いて真似をする、覚える、といったことや文章の書き方を真似をする、といったことがしづらくなっており、見て盗む、仕事ぶりを見て自然に学ぶ、ということも難しくなっています。

 更には、ハラスメントという言葉の定着により上司、先輩が部下、後輩に対するコミュニケーションに対して不安を抱いていること、自ら積極的にコミュニケーションを図る若い世代がいないこと、更には、女性活躍推進やワークライフバランスといった国策の関係で、今まで育成対象となってこなかった人材に光をあて、成長してもらう、といった様々な状況が相まって、注目されてきたのがメンター制度です。

 意図的に「支援」「育成」という関係性をつくることで、個人、組織の成長につなげようという機運が高まっていると言えます。



2.メンターとは




■メンターとは:

 仕事や生活、人生において個人の“手本”となり、 指導・支援を行う人のことをいいます。知識やスキル、経験の豊かな人(メンター)が、まだ未熟な人(メンティ)に対して、目標達成や成果向上、成長のために仕事のやり方や人間関係の築き方、課題解決、意欲促進、モチベーション向上など様々な場面で、キャリア形成や心理・社会的な側面など総合的な支援を継続的に行います。
 単なる話を聴く相談役ではなく、業務・実務ではないもっと大きなところでの目指す姿を明確にし、サポートを行うことでメンティに自律性や自信を持たせ、メンティ自身が前向きに仕事生活、社会生活を送る支援を行う役割を担います。


■メンターの語源:

 ギリシア神話の登場人物『メントール』の名前に由来します。オデュッセウス王がトロイア戦争に出陣する際、自分の息子テレマコスの育成をメントール(Mentor)という人物に託しました。 託されたメントールは帝王学や学問のみならず、人としての成長も含め全人格的な育成・指導を行いテレマコスを王の期待以上に大きく成長させたことから、全方位的に指導支援を行う人のことをメンターと呼ぶことになりました。



3.メンター制度とは



■企業制度としてのメンター制度:

 企業や組織が制度として導入する場合は、離職防止、モチベーション向上、女性活躍推進、新規事業促進、管理職登用トレーニングなど様々な目的で実施されています。
 また、「斜めの関係」と言われ、同じ社内であっても異なる部門の上司や先輩が設定されるのが通常です。それは、評価や日常の仕事に直接的な影響がない分、本音で相談しやすくメンター側も固定概念やバイアスを持たず客観的かつ適切なアドバイス、支援が可能となるためです。


■メンター制度の期待効果:

【組織】  
 メンター、メンティがともに成長すること、社内のコミュニケーションが活発になり現状把握が常に行われるため組織が活性化されます。  

→職場定着率の向上、職場の満足度向上、知識・ノウハウの継承、社内コミュニケーションやネットワークの活発化、組織風土の改善、社員の能力向上、逸材発掘 

【メンティ】
 働く上でのビジョン明確化、無用な躊躇や不安の払拭、成長スピードアップ、仕事に対するモチベーション向上

→知識・ノウハウの吸収速度向上 、自立・自律、対人能力向上、社内コミュニケーションやネットワークの活発化、問題解決・能力向上、職場満足度向上、キャリアプラン、将来のビジョンの明確化

【メンター】
 メンティを支援することで、自分自身の仕事や生き方の振り返り、対人コミュニケーションへの気付きや学び、更なる成長

→対人能力向上、指導・育成能力向上、社内コミュニケーション・ネットワークの活発化、知識・ノウハウの洗い出し、責任感の向上


■メンター制度の「表面的な」マイナス面:

・直属の先輩や上司との関係性
→斜めの関係で実施した場合に、第三者が関わることで直属の先輩や上司が得てない情報があることから、事前にメンター制度に対する社内周知、理解浸透を行っていなければ、組織内の関係性がギクシャクする可能性があります。
  
・メンター、メンティの工数増加
→時間的な拘束、レポートや振り返りの時間など時間的な工数が発生します。

・メンター、メンティのストレス増加の可能性
→メンター、メンティのマッチングを行っただけで、目的や運用方法の設定、ツール活用などを行わず、ペアの二人に自由に任せていると、メンタリング実施の意味や効果を感じられず、実施自体が双方のストレスになることがあります。

※表面的なマイナス面と記載してあるのは、きちんとした導入・運用を行っていないために発生するものです。経営が制度にコミットメントし、導入時にしっかりと準備・説明を行うこと、運用をサポートすることで、上記のマイナス面はカバーできます。



4. メンター制度がうまくいかない場合ってどんな時?



 メンター制度を導入したものの、うまく機能させることができず、形骸化して一年で終了というケースが多々あります。

 メンター制度は、メンターとメンティを組み合わせて面談を行う機会を提供するというシンプルな形なので、とりあえずやってみようとスタートしてしまいがちですが、斜めの関係だからこそ、準備と運用を丁寧に行わなければ、機能しないどころか逆効果になることもあります。
 実際、導入したものの、実施されず形骸化した、期待する成果が出なかった、ということでメンター研修の実施や運用の相談を受けることが多々あります。

 それは、目的であったり、組織のバックアップ体制であったり、メンターの接し方であったり、と必要な要素の何かが欠けているが故です。また、一年程度の短期間での明確なアウトプットや結果を求められうことで、一年やってみたけど費用対効果が分からないので、効果が出ないので中止、という判断になることもあります。

 しかしながら、必要な要素を満たした上で、丁寧に運用継続することでメンティがいずれメンターとなり、育成文化が醸成され、組織の風土が変わり、といった具合に成果につなげている企業や団体も実際にあります。

 実施する前の準備及び実施中のフォロー、実施後の振り返りを丁寧に回し、次年度につなげていくことが大事です。

■メンター制度の効果が出ないケース:

・進行の問題  
・取組み姿勢の問題  
・目的・テーマ・目標  設定の問題  
・問題が発生しているにも関わらず、惰性で継続している  
・関係性(遠慮、相性)
 ほか

         
■メンター制度で起こりがちな失敗例:

・メンターが相手視点に立てない
・安心できる場であるはずが、プレッシャーの機会となっている
・直属の上司・先輩との関係性
 ほか




5.ピアメンタリング



 ピア(peer)は仲間という意味で、言葉が指すとおり、1:1ではなく、共通のテーマを持つ複数人が定期的に集まり、互いの関心事や相談事を共有し、一緒に考えることで相互成長を図る仕組みです。

 対等な関係の中で話し合う中で、定期的に振り返りを行うだけでなく、様々な価値観や考え方に触れることができることで、有益な話し合い、成長につながっていきます。

 全員が、気負うことなくコミュニケーションを取れるという点で、4名前後が適正人数と言えます。
1名の振り返り・共有に対する各人からの感想共有やアドバイスを行う時間を15分~20分とし、通常各回が60分~80分となります。

 特に決め事はありませんが、話す準備をせずその場で共有事項を考えるとなると、時間が無駄になるため、振り返りの共有準備を各人が事前に行っていることが必要です。また、そのグループで効果を最大化するために、「遠慮しない」「率直に言いたいことを言う」「承認する」など、グループ内でルールを設定しておくのも有効です。

<実施者の声>
・回を追うごとに、次の回が楽しみになっていくのを実感できた。
・自分にはない考え方や価値観に触れることができて勉強になる。自分の思考パターンに気付いた。
・毎週進捗、成長が自分で認識できることに加え、周囲から自分が想像していなかったコメントや意見をもらえることが励みであり役にたっている。モチベーションにつながる。
・参加者が回を追うごとに元気になっていっている。振り返りの内容と1週間毎のシートの密度が毎回成長していっている。
・振り返りシート作成にあたり、ダメだった点やできていない点を発見し、嫌々でも自分に向き合う一方で、気づきや学びをある意味強制的に探すため、ダメな一週間、何もない一週間の中にも前向きになれる点が発見でき、自己効力感や元気につながる。
・上司の言っていることに納得できず、行動に本気で取り組めなかったが、前回の会でメンバーからから色々意見をもらって考えてみた。すると、自分に悪い点もあるのでは?と思い至り、上司がそういうことを言う理由を自分なりに考えてみたところ、自分にも修正すべき点があった。(同じ失敗を繰り返していた)その後、「同じミスを繰り返さないように意識しています」と上司に共有したところ、関係性が改善した。



6.リバースメンター制度



 メンター、メンティの関係は、メンターが年長者、メンティが年下というイメージが強いですが、必ずしもそうである必要はありません。

 本来のメンター制度は、若手社員やターゲット社員が抱える課題や悩みを、経験豊かなメンターがサポートするものですが、最近では、その立場を逆転させたリバースメンター制度を導入する企業が出てきています。

 例えば、若手社員が役員のメンターとなり、モバイル機やSNSの活用法などITスキルを学ぶサポートを行う、といった事例が取り上げられています。パソコンが登場した時が、そうであったように、年々新しいものが世の中にアウトプットされますが、若者は、それらに自然になじんでおり、年配の社員よりも長けていることが多いため、それを、教わるというのは、自然な流れでしょう。目的はITスキルを学ぶことですが、実際に導入した企業では、役員から「新たな考え方や常識に触れ、刺激につながった」といった評価の声も高かったようです。

 最新の機器や技術に関わりません。自分にない知識やスキル、経験を持った人であれば、メンターと成り得ます。
当然、通常のメンタリングと同様に、双方の成長につながります。

 唯一懸念があるとすれば、自分よりも若い人がメンターとなることをメンティとなる本人が受け入れられるかどうか、という点でしょう。それが無ければ、リバースメンターも形だけで全く意味も効果もでません。

 反対に、双方が受け入れ、実際に運用し効果につなげることができる組織であれば、色んな人、様々な環境から学ぶことが出来る組織ということであり、成長の機会も増え、成長し続ける事が可能になります。

 敢えて制度にする必要があるのか、とも言われそうですが、相互育成という文化を醸成するメッセージとしても有効です。



7.外部メンター



 メンターは、会社や組織で実施する必要はありません。自分の人生やキャリアにおいて、悩んだ時は課題を抱えた時に、アドバイス、サポートしてくれる方、自分が信頼できる方がメンターと言えます。

 例えば、ベンチャー企業の経営者の成長のために、経験豊富な経営者がメンターとなることもありますし、転職した人が、前職の上司や先輩にメンターとなってもらって相談することもあります。

 会社や団体のメンター制度が斜めの関係で組まれる目的の一つに、利害関係のないところで、評価に関わらないので相談しやすい、素直に意見を受け止める、といったことがありますが、その観点からすれば外部メンターには、利害関係が全くないので、100%そのメリットを享受できます。

 同じ組織でないので、本音で相談しやすいことはもちろん、メンターとしても組織の事情を酌量する必要がない分、本当に適切な意見を出せると言えるでしょう。

 外部メンターを選ぶ際は、「信頼できること」「社会経験を積んでいること」「主観でなく客観で物事を捉えられること」を最低限の規準にし、後は、自分が話しやすいかどうかといった観点で判断するとよいでしょう。




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コラム【組織】

社内で人材育成を効果的に進める仕組み・取り組み10選

御社では、人材育成がどのくらい重要視されているでしょうか。従業員の皆様は、どのくらい育成に対し熱心でしょうか。

 例えば、貴社の従業員の方が管理職やOJT担当として育成を任された際に、下記A~Cの従業員が取る反応のどれに当てはまりそうでしょうか?
 
・従業員A
「忙しい中で、何で育成なんかやらないといけないんだ。自分の仕事もあるのに、手間ばかりかかって嫌だ」

 

・従業員B
「忙しい中で大変だし、育成は難しいけれど、給料をもらっているのだから、できる限りのことはやろう」


 
・従業員C
「自分が育成に関わったメンバーが、成長していく姿を見るのが嬉しい!メンバーも喜んでくれるし、やりがいを持てる。メンバーが成長すればチームや会社も成長するし、お客様にもよりいいサービス、対応ができるようになるから、誇りを持って取り組もう!」



 
 A、B、Cの誰につくかによって、当然メンバーの成長スピードや成長レベルは異なります。
 そして認識しておくべきことは、人は自分の経験に基づいて考え行動する傾向にあるため、そのメンバーが育成する側になった際に、同様の考え方・対応をもって新人や部下の育成に関わるようになる、ということです。そうであるならば、全員が従業員C、少なくともBの考え方になってもらうように、組織としては取り組む必要があるでしょう。
 

 もう一つ、認識しておきたい事があります。それは、環境も人に影響を与えるということです。環境が部下に与える影響を分かりやすく理解できる考え方に、心理学者クルト・レヴィンが唱えた「クルト・レヴィンの法則」があります。
 
【クルト・レヴィンの法則】

 人が取る行動とは、本人の特性と本人をとりまく環境が相互に作用して生じるものであり、 【 B= f ( P・E ) 】 という式で説明することができるというもの
 
B(Behavior):行動
F(Function):関数記号  
P(Personality):人間性、人格、個性、性格、価値観
E(Environment):組織・集団のルール、周囲の状況、人間関係、職場風土 

 
 従業員が取っている行動は、その人自身の特性のみによるものではなく、職場風土や人間関係の作用によって変わるということです。



  例えば、本来は、色んな提案を行うことが好きで得意なAさんがいたとします。過去、色んな提案を行って会社の業績向上や組織活性化に貢献してきたのですが、家の事情で地元に戻ることになり、転職しました。転職した先は、会社全体が非常に保守的で、新しいことにチャレンジをしません。どんなことを提案しても、何度提案してもことごとく却下されることが続きました。やがてAさんは、その職場において、提案することをやめ、淡々と言われたことだけをやる人間になってしまいました。

 この事例は、提案が好きで得意というAさんの特性があるものの、転職先の保守でチャレンジしないという環境によって、Aさんの提案行動が悪い方向になったということです。もちろん、逆の結果(環境が良ければいい方向に行動が変わる)も起こります。

 
 上記2点から、組織に属する人員(役職、雇用形態関わらず)全員が、自分自身、共に働く仲間、組織に対して成長・育成の意識を持つことが組織活性、業績向上、ミッション実現に重要です。

 各従業員が、「自己の育成(=成長)」「仲間の育成(=相互育成)」「組織の育成(=組織貢献)」を常に意識し、行動する育成文化が出来上がれば、自然に会社は成長します。




 その実現の一助として、自社で実施できる仕組みについて、シンプルにできる10の仕組み・取り組みを紹介します。

 
<理念や行動指針、会社のスタンス・方針浸透>

 1.自分事チェーンメール

 理念や行動指針が全員に浸透していると言い切れる会社は多くはないでしょう。日々、朝礼で唱和を行う事例が多くありますが、唱和では言葉は覚えていても、理解できていない、どういうことか自分の言葉で語れない、ということが起こります。人は自分で考えたことが最も意識に残り、行動につながります。それを活用する手法です。


 
【取り組み内容】

 日々、部門の誰かが、理念、行動指針の中からピックアップされた項目に関する自身の事例(考え方や行動や結果)をメールで部門メンバー全員に配信。配信されるメール内に、次に書くメンバーを指名し、毎日つなげていくことで、理念や行動指針に関する事例が、日々部門に配信され続ける状態になる。メールへのコメントは誰でも自由にできる。

例)行動指針が「顧客志向」「チームプレー」「挑戦」「相手視点」「提案力」の5つ

 月曜日は「顧客志向」、火曜日は「チームプレー」・・・と項目を決定。部門メンバーのA氏が月曜日に「顧客志向」について配信、そのメールの中に次の担当はB氏と記載、B氏はそれを見て「チームプレー」に関する自身の事例と次の担当を記載し、配信。

【効果】

・理念、行動指針に対する自分の事例を配信するため、自分事として考えることで理解が深まり浸透していく。自分の言葉で語れるようになる。
・日々の配信内容や自身が配信したことに対するコメントから他者の考え方や事例が参考となり、価値観の拡大や相互理解につながる
・継続することで、会社の理念や行動指針が、理解を伴って浸透していく

【参考】

 今はクラウドツールや動画共有ツールなども安価で活用できる時代なので、メールでなく専用ツールやSNSを活用するのも良い



2.自社ケーススタディ実施

 新入社員や中途メンバーにとって、会社の考え方や方針はわかりづらいものです。学問と異なり正解はありませんが、こういう場合にどうするという会社が目指す方向性はあります。それを、浸透させるための施策です。
 


【取り組み内容】

 自社実例を用いたディスカッションを定例で実施

 会社で起こる様々なケースを事例として、こんな時、理念や行動指針に照らすと、どうするのがいいのかを議論する。ファシリテーターは毎回変える。 

例)大口のお取引先から、自社商材・サービスにはないもができないかと相談された。個人的には、なんとかしたいと思っていて、対応できる商材やサービスを探して紹介しようかとも思っている。しかし時間がかかるのは間違いない。会社の行動指針に「顧客志向」が掲げられているがどうするべきか

【効果】

・会社の目指す考え方、行動が浸透する
・会社の目指す考え方、行動が浸透することで、自分で考えて動く主体性につながる
・自分の考えや意見を述べるトレーニングになる
・一つのテーマについて議論することで連帯感が高まる
・日常のコミュニケーションでも理念や行動指針が話題としてあがるようになる
 例)このトラブルは、行動指針の○○に照らすと、こうだよね。
 



<多様な価値観の受け入れ、心理的安全性の拡大>

3.読書会

 同じ書籍を読んだとしても、人によって気付きや刺激を受けるポイントは異なります。読書自体が成長の糧になりますが、組織メンバーで共有・議論のタネとすることによってお互いの価値観や考え方を認める、言いたいことを言い合える文化を作ります。



 【取り組み内容】

 4、5名のグループを作り、同じ書籍を読んで共有を行う。グループは階層別、職種別、テーマ別で設定する。(多様な価値観の受入れやアイデア出しという目的であれば、異なる職種や階層で、心理的安全性の拡大という目的であれば、同じ部門でグループを作るなど目的に応じて変える)共有内容も目的に応じて設定。ただ共有するのではなく、アイデア出し、部門としての取り組につなげることもできる。

例)感想・気付き・学び
  自分ができること、やろうと考えたこと
  会社で取り組んだらいいと思うこと

【効果】

・課題図書を読むこと自体が勉強になる
・自分で考える癖がつく
・自分の考えや意見を述べるトレーニングになる
・多様な価値観や考えに触れ、刺激を受けることで成長の機会につながる
・組織の中で共通認識・共通言語を用いたコミュニケーションがとれる
・いいものは取り入れることができ、組織が進化していく
・考えたことが実行されると自信につながり更に考えるようになる 
 
【参考】 Read For Action 日本最大級の読書会コミュニティ


→ コラム 一人数千円で行う幹部・管理職育成方法



 4.定期的な席替え

 人は、仲のいい人や決まった人とコミュニケーションをとりがちです。そこに新たな刺激はなく成長にはつながりません。フリーアドレス制(決まった机を持たない)を取り入れる企業が増えていますが、目的の一つに様々な人とコミュニケーション機会を増やすことがあります。それを席替えで実現するということです。

 アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスがまとめた単純接触効果という理論があります。
 繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果です。例えば、CMなどでよく見聞きする度に購入に対する意向が高まる、何度も聴いている歌がいい歌に聴こえてくるといったことです。人に対しても、馴染みのお店でよく会う人と仲良くなっていくように、当初、無関心であったり嫌な印象を持っていたものが、接点が増えることによって興味・関心・好意に変わるとされています。
 
 近くの人とは自然にコミュニケーションを取るようになるものです。それをうまく成長の機会、育成の機会に変えることができます。



【取り組み内容】

 毎月もしくは四半期に一回など、定期的に席替えを行います。育成に熱心、育成力のあるメンバーのそばには、毎回異なるメンバーを意図的に配置する
 
【効果】

・異なる人との接点が増えることで、刺激や気付きが増える
・近くになったメンバーの新たな側面を知ることで、距離が近くなる
・組織の空気の活性化につながる
・近くのメンバーが変わることで、持っている知識や情報を教え、教えられといった相互育成が促進される
・席替えで移動に伴い整理整頓が定期的に行われることで、業務スピードが上がる




 <学ぶ力、活かす力の醸成>

5.持ち回り情報発信

 何らかの情報を発信するには、情報として加工する力(事実・データ収集し、受け手に役に立つ内容に変える)、受け手が理解しやすいようにまとめる力、発信する力が必要です。特に、文字として発信する場合は、口頭で伝えるよりもしっかりと考えることが必要となり、成長の大きな機会となります。



【取り組み内容】

 テーマを設定。新聞、雑誌からテーマに役に立ちそうな内容をピックアップし、メールや社内SNSにて配信。どういう内容の記事なのか、それを受けてどう役に立てられそうかなど配信内容、配信頻度は自由に設定。配信された情報が役に立った場合は、配信者にフィードバックを行う。担当者は、月毎の持ち回りでもいいし、様々なテーマを設定し、全員で実施するという形でも良い。いずれにしても所属メンバー全員に機会を与える。

【効果】

・配信者の情報収集、情報とりまとめ、発信力が高まる
・フィードバックを受け、配信された情報が役に立ったことを認識することで更なるモチベーションにつながる
・部門に各テーマに詳しいエキスパートができることとなり組織の知識力と活用スピードが高まる
・配信内容についてやり取りを行うことで、社内コミュニケーションが深まる



6.講師持ち回りによる社内研修、勉強会の定期開催
 
 平均学習定着率を示すラーニングピラミッドと呼ばれる図があります。能動的になればなるほど学習内容の理解深化・定着化が進み、最も貢献するのは、「他の人に教える」行動とされています。新たな知識やスキルを人に分かるように伝える、質問に回答できるようにするには、自分自身が深く理解をしておくことが前提です。更に、資料作成や伝わりやすいトーク内容、質問に対する回答を想定するなど、様々な角度から検証することになり、研修や勉強会の担当になった人は、テーマに対する理解が深まるだけでなく、資料作成スキル、コミュニケーションスキル、プレゼンテ―ションスキル、質問への対応スキルなど様々なスキルも合わせて磨かれることとなり、大きな成長の機会となります。もちろん、受講する側も、定期的に知識やスキルの習得、深掘りにつながります。



【取り組み内容】

定期的に社内研修もしくは勉強会を開催。毎回、担当を変え全員に機会が回るようにする。研修、勉強会テーマは部内、チーム内からリクエストを募ってもいいし、担当が得意、強みとする内容でも良い。社外セミナーや研修の内容を、自らが講師として実施する、もしくは理解できるように共有するという取り組みも良い。

【効果】

・担当者の担当テーマに対する理解が深まる
・テーマ以外にも様々なスキルが上がる
・定期的に研修や勉強会が開催されることで部やチーム全体の知識・スキルが底上げされる
・組織に学習癖がつき、組織の育成文化醸成、育成力向上につながる

 


<育成力、育成文化醸成>

7.メンター制度

 新入社員育成において馴染みの深いOJT制度が直属の上司や先輩と実施するものであるのに対し、メンター制度は斜めの関係と言われ、メンティ(サポートを受ける側)に対して異なる部門の上司や先輩がメンター(サポートを行う側)として設定され、実施される日々の支援制度です。「モチベーション維持、離職防止」という守りの目的で、新人や若手を対象に実施する企業が多いですが、一段上のステージとして攻めの目的、例えば「個人の成長」「女性活躍」「組織の業績向上」「新規事業創出」を実現するための制度として活用が可能です。また、同じテーマを持つ人材が複数集まり実施するピアメンタリングや役員のメンターに新人がなるリバースメンターなど様々な取り組みが注目されています。



【取り組み内容】

 実施期間、面談頻度、何を目的として行うのかということを制度として明確にした上で、メンターとメンティを組み合わせ、1:1で定期的かつ継続的に面談もしくはコミュニケーションを行う。注意点としては、メンター制度は斜めの関係であるが故に、実務を教えることができないため、何をどのように支援すればいいのか、やっていて意味があるのかとメンター、メンティ双方の意欲が上がりづらく、形骸化することも多々起こる。それを防ぐために、事務局・支援室などサポート機関を設置し、適切なフォローを行う。
 
【効果】

・斜めの関係で評価や日常における利害関係がないため、本音で話しやすくメンティの悩み解決につながりやすい。
・離職率低下
・メンターのスキル(傾聴スキル、話すスキル、質問スキル、育成スキルなど)の向上
・制度の継続で、メンティがメンターになることで、制度そのものが進化するとともに育成文化が醸成される


→ コラム 自社に合わせた失敗しないメンター制度

 
8.1on1面談制度

 Google社やYahoo社などの取り組みが成果につながっていることから注目された制度です。個人の業務負荷増大やプロジェクト化、在宅勤務、遠隔マネジメントなど、頻繁にコミュニケーションを取る機会が減った中で、定期的にコミュニケーションを取ることで、モチベーション維持・向上から進捗管理などにつなげます。メンター制度と同様に1:1で実施しますが、直属の上司や先輩と実施するケースが多く、実務面から人間面の成長まで幅広く対応が可能であること、様々なメリットがあることから導入企業が増えています。



【取り組み内容】

 上司と部下、先輩と後輩、1:1で30分から1時間程度、定期的に面談を行う。目的に応じて期間を設定してもいいし、特に期間を定めなくても良い。企業によっては、同じ部門ではなく、全く関係ない人と実施しても良いとしているところもあり、目的も人間関係構築、悩み相談、業績アップなど様々である。同じ場所で勤務をしていなくても、WBE会議システムを活用しながら実施することも可能である。

【効果】

・定期的に確認、PDCAを回すことができるため「経験学習」として有効である。
・定期的に確認することで、部下・後輩の気持ちやモチベーションの変化に気付きやすい。(いい面、悪い面)
・上司・部下、先輩・後輩間の信頼関係が強化される
・自分で考える癖づけができる
・上司や先輩の育成力向上
・個人の業績やパフォーマンスの向上
・離職率低下


→ コラム 定例面談を行う効果とは



9.キャリアデザイン制度

 VUCA (Volatility:変動性・不安定さ、Uncertainty:不確実性・不確定さ:、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性・不明確さ)の時代と言われる中、ただ同じことだけをやっていればいいという環境ではなく、従業員一人一人が自ら何を成し遂げるのか考えて動くということが個人にとっても組織にとっても重要になっています。本制度は、自らの育成(=成長)に寄与することはもちろん、メンバーのキャリアデザインを確認、支援する上司や組織にとっても、一人一人の力を最大限に活かせるという観点で有効な取り組みです。

 

【取り組み内容】

 3年先のキャリアを設定し、その実現に向けて2年後、1年後、どこを目指すのか、そのためにどんなアクションを行う必要があるのかを個人で考えてもらった上で、上司と確認を行う。一度二度の取り組みでは全く意味がなく、毎年実施を基本とし、半年に一度など定期的に進捗状況や変更の確認を行うことで実現度を高める。注意点としては、自分自身によらない理由で実現できないということがあると(規模が小さかったり、硬直的な組織の場合に、異動、昇進などのプランを書いたものの、結局実現できない)、逆効果になるため、その際は、自己成長という観点にフォーカスして実施するようにする。

【効果】

・自ら設定した働く軸、ビジョンがあることで、環境に左右されず取り組むようになる
・先を明確に見据える事で「今の仕事で何が役に立つか、何が必要かを見据える事ができる」「チャンスを捉えることができる」「一日一日をより大事に過ごすようになる」
・近い未来の目標・ゴールと実現のためのアクションプランを定期的に確認することで、視点が「今・現在」から「未来」に切り替わる
・やりがいにつながる要素(達成感、成長感、存在感)を自分でつくることができるため、行動に対する動機が高まる

   達成感:自分で定めたビジョン、行動目標に対してどうだったか
   成長感:自分で定めたビジョン、行動目標に対してどうだったか
   存在感:自分で定めた発揮価値に対してどうだったか





<育成意識・行動の浸透>

10.教育委員会、育成プロジェクト


 「人を大事にする、育成に力を入れる」という会社のメンバーに対するメッセージ出しにつながるとともに、個人・組織の成長を促進することで業績向上や組織活性化につながります。また、やり方を工夫することで、一人一人の育成・成長に対する意識付け、行動の浸透につなげることができます。



【取り組み内容】

 育成の制度や仕組み、毎年の研修や勉強会などの企画・運用を実施する委員会、プロジェクトを設置。人は、上から降りてきたものや自分が関わっていないものについては、当事者意識を持ちづらく、受け身、消極的、後ろ向きになる。それを防ぐために、総務や人事主体ではなく、各部門から最低一人ずつ人員を出し設置すること、毎年、人員の入れ替えを行い、最終的には従業員全員が一度は委員会やプロジェクトに関わることを前提とする。委員会活動、プロジェクト活動は業務の一環とみなし、就業時間内に実施する。

【効果】

・参加メンバーの育成・成長に対する興味が引き上がる
・会社全体のことを考えることで参加メンバーの視点・視座が引き上がる
・各部門から参加することで、現場の声を反映した教育・研修が可能になる
・会社全体の育成に対する意識が高まり、取り組みが毎年ブラッシュアップされていくことで業績向上やミッション、ビジョンの実現に貢献する

 

 以上、自社で実施できるシンプルな仕組み・取り組みを紹介しました。


 近年、成長に対する個人の意欲が圧倒的に高まっています。

 株式会社リクルートキャリアの就職みらい研究所が2019年卒業の学生に対して行った 『就職プロセス調査』によると、就職先を確定する際に決め手となった項目は「自らの成長が期待できる」が47.1%と圧倒的な1位でした。更に、株式会社Schooが2018年から2019年にかけて行った『自発型学習についてのアンケート調査』では、95.5%が、会社任せの研修だけではなく「自分自身で決めた学習(自発型学習)」が必要と実感しているとの結果がでています。

 これら成長に対する意欲は2019年以降、高いままです。終身雇用が崩れ、転職に抵抗がなく、多様な働き方が推奨されている現在、自分のスキルこそが自分の人生を豊かなものにするということを認識しているからです。裏を返せば、所属する会社や組織で成長できる仕組みや環境があることが重要ということとなり、それがないと判断をしたら、優秀な人から順番に辞めていくということです。 

 経営資源、「ヒト・モノ・カネ・情報」においてモノ・カネ・情報を獲得するのも動かすのもヒトです。社内・社外関わらず、育成文化醸成、育成力向上は、視覚化しづらいですが、確実に業績向上、ミッション実現につながっていきます。育成の文化・仕組みづくりを進める価値を強く認識し、取り組んでいきましょう。



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